セフトリアキソン注射液の配合注意点

こんにちは
今回は点滴の配合変化についてです。


ある日、1日中ビーフリード(R)を投与している患者にセフトリアキソン注射液が処方されました。問題はあるでしょうか?

配合変化注意!【結晶化】

抗生剤のセフトリアキソン(先発:ロセフィン(R))は第三セフェム系抗生剤です。緑膿菌に効果はありませんが、肝臓で代謝される薬のため、腎障害がある患者であっても使用しやすい薬です。

ビーフリード(R)のようにカルシウムが配合された輸液や注射剤と混合すると、セフトリアキソンが結晶化し、混濁してしまいます。これが肺や腎臓などで起こると、最悪の場合命に関わります。高カロリー輸液は基本的にカルシウム含有のため、セフトリアキソンの処方が出た場合は併用輸液を必ず確認してください。

【カルシウム含まれている輸液】

  • フルカリック
  • ハイカリック
  • ネオパレン
  • ビーフリード
  • エルネオパ
  • ソルアセトF  など。

対処法

メインでカルシウム含有輸液が点滴されている場合は、メインを一旦止め、チューブ内をフラッシュしてからセフトリアキソンを投与し、投与後に再びフラッシュしてからメインを再開します。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 〜 〜 〜 


【結晶化】はよく見られる配合変化の1つになります。混合後すぐに混濁してしまうため、目で見てすぐにわかることが多いです。しかし、混合した看護師さんは驚くでしょうし、薬も無駄になってしまいます。看護師さんが『白くなったけどこれが普通なのかな?』と思ってしまったり、気付かなかったりすると患者さんの命に関わるため、配合変化は必ず確認するようにしましょう。

医療の関連記事
  • レボフロキサシン点眼薬、濃度の違い
  • 尿路感染症を予防する“飲み物”!?
  • 脱水時の検査値、症状あれこれ
  • プラセボってなに?
  • 骨粗鬆症の注射剤まとめ
  • プレアボイドってなに?
おすすめの記事
乳児脂漏性皮膚炎とは
医療
こんにちは。今回は新生児に多い『乳児脂漏性皮膚炎』についてです。 私の息子もなったので、後半に実体験をお話しします。 乳児脂漏性皮膚炎とはな...
β遮断薬の『ISA』って何?
医療
こんにちは 今回はβ遮断薬について書かれている本などに必ず記載がある『ISA』とはなんなのか。について書いていきます。  ISA=内因性交感...
抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いは?
医療
今回はDrからの質問ではないのですが、当院の薬剤師は結構漢方薬が苦手な人が多いので漢方薬をピックアップしてみました。 抑肝散といえば薬剤師な...
尿の色が変わる薬剤
医療
こんにちは。今回は服用後に尿の色が変わってしまう薬剤をまとめてみました。 尿の色の変化は、服薬指導時に伝えなければならない必要な情報です。覚...
わたしの本棚(3)
わたしの本棚
こんにちは。 今回はなんと!漫画です! 『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 荒井ママレ作 』 これはもう言わずもがなって感じですね...