こんにちは。今回は向精神薬について少しまとめてみました。
向精神薬とは
向精神薬は主にうつ病、睡眠障害、不安障害などに処方される精神疾患の薬です。その効果の有用性以外にも薬物乱用の危険性があり、特に注意が必要な薬剤の1つです。
今回は『薬局における向精神薬取扱いの手引き』も引用しつつ確認していきます。(https://www.pref.aichi.jp/iyaku/tebiki/28psycho(115-118).pdf)
分類
向精神薬は第1種から第3種まで分類されています。
- 第1種:メチルフェニデートなど
- 第2種:アモバルビタール、ブプレノルフィンなど
- 第3種:アルプラゾラム、ジアゼパムなど
ちなみに、向精神薬は処方制限日数があり、薬によって『○日以上は処方できない』と決まっています。しかし、『第1種だから14日』というような決め方ではなく、分類関係なく14日、30日、90日のどれかと定められています。
保管
保管方法は以下のように規定があります。
1 薬局内の人目につかない場所で保管すること。
2 保管する場所は、業務従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行うこと。
基本的には鍵のかかる金庫や引き出しなどに保管するのですが、薬剤師が調剤室にいる場合は『常に鍵をかけていなくてもいい』ということになっています。(まぁ常に鍵かけてももちろん良いのですが、調剤するときに毎回開けるの面倒ですよね)
薬剤師が不在となる場合は、保管している金庫などに鍵をかけるか、調剤室自体に鍵をかけたりしなければいけません。
また、保管場所は麻薬、毒薬などと別の金庫や鍵のかかる引き出しなどに保管する必要があります。
事故
調剤室にある向精神薬が、下記の数量以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、速やかにその向精神薬の品名、数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を保健所に届け出る必要があります。
- 末、散財、顆粒剤→100g(包)
- 錠剤、カプセル剤、坐剤→120個
- 注射剤→10A
- 内溶液→10容器
- 経皮吸収型製剤→10枚
この数量以下でも、紛失の原因が『盗難、搾取』であった場合はすぐに警察、都道府県知事に届け出なければいけません。
記録
第1種、第2種向精神薬は譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときに、次の事項を
記録し、この記録を最終記載の日から 2 年間保存しなければなりません。
(1) 向精神薬の品名(販売名)、数量
(2) 譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日
(3) 譲受け又は譲渡しの相手方の営業所等の名称・所在地
第3種向精神薬に関しては決まりがありません。しかし、
『 第3種向精神薬については、記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、定期的に在庫確認をすることが望ましいです。』
との記載もあるため、第3種であっても記録することが望ましいですね。
ちなみに廃棄方法ですが、『回収が困難な方法』で行えばOK。
薬剤師の皆さんの勤務先ではどのように保管しているでしょうか?私の勤務先では第3種もパソコンと紙に記録していますが、以前勤めていた病院では第3種は記録していませんでした。処方頻度にもよるのかもしれません。どちらにせよ、毎回記録しておいた方が、盗難など万一のことが起きにくくなると思いますので、なるべく記録した方がいいですね。
乱用、多量摂取に特に気をつけなければならない薬です。ふらつき、めまいなどの副作用が出やすい薬も多いので、服薬指導の際は慎重に患者さんに話を聞いてみましょう。