こんにちは。
今回は『プレアボイド』についてご説明します!疑義照会と混在しやすい部分もありますので注意しましょう!
プレアボイド
『プレアボイド』とは、患者さんに対して薬による有害事象を防止・回避する(prevent and avoid the adverse drug reaction)という言葉の造語です。
薬剤師は、病院や薬局で服薬指導、調剤・混注業務、治療モニタリングや副作用モニタリングなど、さまざまな業務を行っています。そんな中で、患者さんに起きている副作用や、『もっとこうしたらお薬が飲みやすくなるかも』ということに気付くこともあると思います。このようなことに気付いて医師に処方提案したり、患者さんに指導したりして起こっている、または起こるかもしれない有害事象を防ぐことも薬剤師の業務の1つです。これを『プレアボイド』と言います。
プレアボイドは、病院や薬局など、それぞれの施設で集計し、どんな薬剤師でも見られるようにしておいたほうが良いと言われています。(似たような事例が発生したときに参考になりますからね。)
日本病院薬剤師会ではプレアボイドの事例を報告することとなっており、ホームページでは年度別や都道府県ごとに報国件数が見られるようになっています。
実際のプレアボイド例
それでは、実際のプレアボイド例を簡単にご紹介します。
【1】医師と協力したプレアボイド
プレアボイド①
60代男性。オルメサルタンOD錠10mg内服しているが血圧160ほどあり。Drよりどうしたらいいか相談され、Caブロッカーであるアムロジピンの追加を提案。アムロジピン錠5mg1錠/日追加となる。
血圧は変動が激しいため、減量や増量などを提案する事例はよく発生します。この例では、患者さんの高血圧悪化を防げたことになります。
プレアボイド②
60代女性。タゾピペ®︎投与中に低K血症発生。Drはカリウム補充剤処方しようとしたが、薬剤師がタゾピペ®︎の副作用が起きた可能性があることを伝える。タゾピペ®︎中止となる。
この事例では、患者さんに『副作用』という不利益が発生し、その悪化を防げたことになるため、立派なプレアボイドとなります。
【2】患者さんへの指導で起きるプレアボイド
プレアボイド③
50代男性。ダイアート®︎錠などいくつかの内服薬を服用している。入院時初回指導時に話をしていると、ダイアート®︎錠を下剤だと勘違いし、勝手に飲んだり飲まなかったりと調節していたことが判明。これは利尿薬であると指導すると理解を得られ、毎日内服するようになった。
この場合、患者さんは十分な効果が得られない状態でしたが、薬剤師の指導によって適切な薬効が期待されるようになったため、症状の悪化を回避できたプレアボイドとなります。
他にも、インスリンや吸入薬の指導、外用剤を間違った使い方で覚えてしまった方に対して正しい使用方法を指導する、ということもプレアボイドとなります。
『普段当たり前のように行っている業務がプレアボイドに当てはまる』ということは多いのではないでしょうか。私たちが患者さんのために行っている処方提案や服薬指導は『プレアボイド』という名で集計され、インターネット上で閲覧が可能です。「どんな事例があるのかな?」「これはプレアボイド?」など、一度調べてみると参考になることもあると思います。ぜひ、調べてみてくださいね!
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