メトホルミン×ヨード造影剤=?

こんにちは。

以前、放射線科から電話がありました。

「今日CTする患者さんなんですが、糖尿病でグリメピリドを内服しているそうです。グリメピリドは『ビグアナイド系ですか?」

グリメピリドはビグアナイド系ではなくスルホニル尿素系糖尿病治療薬なので違いますよね。「違います」と言って電話は終わったのですが。。。なぜこんな電話がかかってきたのでしょうか?

乳酸アシドーシス発生の可能性あり

メトホルミンのようなビグアナイド系薬内服中にヨード造影剤を使用すると、乳酸アシドーシスを起こす可能性が上がってしまいます。これはビグアナイド系薬 とヨード造影剤の添付文書にも記載があります。

乳酸アシドーシスとは

乳酸アシドーシスとは、体内に乳酸が溜まるにより体内のpHが酸性に偏り、さまざまな体調変化を引き起こし、最終的に命の危険を起こす疾患になります。

初期症状は、腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状や、倦怠感、筋肉痛などが挙げられます。重症化すると、痙攣やショック症状など、意識障害も引き起こします。症状が発生してしまうと予後不良になる怖い疾患です。

発生の機序

まずビグアナイド系薬の機序についてです。ビグアナイド系薬は肝臓で糖新生を抑制し、嫌気性解糖系を促進します。これによって糖を抑え、乳酸が増えます。

ヨード造影剤を使用すると、一時的に腎機能が低下するため、ビグアナイド系薬の排出が抑制され、乳酸がどんどん増えてしまいます。そして結果的に乳酸アシドーシスを引き起こしてしまいます。

CTの前に服用中止

ヨード造影剤を使用するCT検査を予定している場合は、検査前に服用中止の指示を医師からもらいましょう。検査後48時間経過すれば再び服用を再開できます。しかし、『再開は腎機能の状態に問題ないことを確認後』になります。

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今では乳酸アシドーシスが起こすことが珍しくなったビグアナイド系薬。その理由は、多くの医療従事者が副作用を起こさないように気をつけてきたためです。勝手に副作用発生が減少しているわけではありません。既往に肝機能障害、腎機能障害、心疾患などがある方がビグアナイド系薬を服用すると、やはり乳酸アシドーシスを起こす可能性は高くなります。患者さんが副作用を起こさないために、私たち薬剤師も気をつけて見ていかなければいけませんね。

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