乳酸菌整腸剤『R』の落とし穴

こんにちは。

今回は乳酸菌整腸剤の気を付ける点についてです。

乳酸菌含有の整腸剤は、なんらかの原因によって腸内環境が乱れ、下痢や便秘などの症状が生じた時に、腸内の乳酸菌を増やして症状を抑える目的で内服することが多いです。このような乳酸菌整腸剤にはいろいろ菌によって種類があり、ラックビーや、ビオフェルミンなどあります。ところで、これらのような薬剤名に『R』と付く薬があります(『ラックビーRなど』)。

これはなんなのか。

抗生剤に耐性を持つ

この『R』は『resistance』の頭文字で、『抵抗』を意味します。

抗生剤は、発熱などの細菌性の状態悪化に対して作用しますが、同時に腸内細菌まで殺してしまうため、下痢などの副作用が起きやすいです。普通の乳酸菌整腸剤を内服しても、抗生剤が乳酸菌に対して作用してしまうため、期待した整腸作用が得られないことがあります。

そのため、抗生剤に対して抵抗性を持った乳酸菌整腸剤を使えば、死滅することなく整腸作用が得られます。

「よし!じゃあ抗生剤が出てるなら『R』のついた乳酸菌整腸剤を使えばOKだね!」

となりますよね?でもそういうわけでもありません(笑)

抵抗する抗生剤は決まっている

Rの付いた乳酸菌整腸剤なら全部の抗生剤抵抗性を持つのか。そうではありません。

例えば多くの耐性乳酸菌製剤の場合、添付文書の効能効果の欄に『次記抗生物質投与時、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善:ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸。』(ラックビーRはテトラサイクリン系を含まない)と記載があります。

ということは、ここに記載されていない抗生剤が併用されていた場合、適応外ということになり、もしかしたら保険が切られる可能性があります。

じゃあどうしたら良いのか。。。

当院ではミヤBMを採用しています。ミヤBMやビオスリーなどの酪酸菌製剤は、各種抗生剤の影響を受けにくいとされているため、抗生剤と併用しても問題ありません。

ちなみになんですが、以前MRさんに「『R』が付いていない乳酸菌整腸剤であっても、効果をもたらす程度の菌量は生き残るため、効果的には内服しても問題はない」と言われたことがあります。

Rが付いていない薬、付いてる薬、そもそもR製剤がない薬。。。色々と種類があります。『抗生剤併用の場合はR製剤でなければ保険切られる(R製剤があれば)』と言いましたが、逆に『抗生剤が併用されていないのにR製剤が出た』場合も保険切られます。抗生剤が併用されていないか、よく注意しましょう。

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