ホントにあった副作用の話【リスペリドン】

こんにちは。今回は実際に聞いた副作用の話です。

添付文書を見るといろんな副作用が多く載ってますよね。でも、これを全部暗記することは不可能だし、因果関係がよくわからないものもたくさん。この記事では私が現場の方から実際に見た/聞いた副作用についてお伝えいたします。

リスペリドン

リスペリドンは非定型抗精神病薬であり、『統合失調症』『小児期の自閉スペクトラム症の易刺激性』に適応があります。統合失調症、特に陽性症状には素早い効果が期待されるため第一選択薬とされています。多くの薬局に置いてある薬だと思います。

セロトニン5-HT2A受容体、ドパミンD2受容体のアンタゴニストに分類されます。

よくある副作用として高プロラクチン血症、錐体外路障害があげられます。

副作用:錐体外路障害

以前病院のST(言語聴覚師)さんとお話しする機会があり、今まで患者さんと接している中で、薬剤について気になることがあったかどうかについてお聞きしました。すると、リスペリドンが処方されて間もなく、嚥下が急に悪化した患者さんがいたそうです。それをカンファレンス時に伝え、中止になったことがあったそうです。
これについてインターネットで調べてみると、やはりリスペリドンによる嚥下障害はよくある事例のよう。
(薬剤による摂食嚥下障害の実態調査と危険因子の分析 -摂食嚥下認定看護師・臨床薬剤師と介護者の連携による早期発見と対応マニュアルに向けて-
https://sugi-zaidan.jp/assist_decoration/pdf/130820_b10.pdf)

新人薬剤師さんや学生さんの場合、「錐体外路障害はどんな症状?」と質問すると「強ばり、筋緊張」などを答えてくれることが多いです。それは正解です。

強ばり、筋緊張→喉周辺の筋肉も動きが鈍くなる→嚥下障害が起きます。このように、嚥下障害=錐体外路障害と結びつけるのは、数年目の薬剤師であればできると思いますが、新人さんだと勘づくのに時間がかかるかもしれません。

実際はどんな症状なのか、見てみないとすぐに判断できないですよね。嚥下は毎回の食事で気づくことが多く、特に毎日介助している家族や看護師などは気付きやすい症状の1つです。本人だけでなく、周囲の人にも話を聞くのがいいと思います。

添付文書の副作用、覚えていたら事前に注意しておくことができますし、話を聞いた時点ですぐに対応できますよね。これを読んでいつか『あ、ブログでこんな副作用読んだな』とすぐに思い出していただけることがあればうれしいです。

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