こんにちは。今回は制吐薬のドンペリドン錠について添付文書を確認していきます!
妊婦に禁忌!
ドンペリドンの禁忌には、消化管出血、機械的イレウスなど、またはプロラクチン分泌性よ下垂体腫瘍の方など記載がありますが、私が注目したのは『妊婦または妊娠している可能性がある方に禁忌』という部分です。ドンペリドンを接種したラットで催奇形成が認められているからです。
添付文書上では、妊娠何週目の投与で起こるのかは記載がされていません。そのため、ほぼすべての若い女性に対して処方が出た場合、注意喚起する必要があります。
また、つわりによって吐き気が生じることがあります。つわりが原因の場合はあまり薬が効かないと言われていますが、まだ妊娠に気付いていないタイミングの可能性もあります。妊婦に制吐薬を処方してもらう場合はメトクロプラミドを選択してもらう必要があります。
ちなみに、『妊婦に禁忌』なんですが、『内服したら絶対に胎児に悪影響が起こる!』ということではありません。『気づかないで内服していたから赤ちゃんに健康被害が起こるかも!』と焦ってしまう妊婦さんの気持ちはわかりますが、妊娠に気づいた時点で主治医に伝えてもらい、その時に対応してもらいましょう。
患者にどう聞く?
年代によっては『妊娠の可能性はありますか?』と聞くべきか否か迷うことがありますよね…20~30代であれば聞いていいと思いますが、10代や40代だと、こちらも確認しづらい…服薬指導時に『この薬は妊婦さんは飲めないので、もし該当する場合は教えて下さいね~』とさらっと伝えておくのがいいかもしれません(笑)
授乳はいいの?
また、『授乳』についてですが、添付文書上では『乳汁へ移行することが報告されている』と記載されていますが、国立成育医療研究センターのHPにある『授乳中に安全に使用できると考えられている薬』の中にドンペリドンが含まれています。授乳中でも安心して薬を飲むことができますね。
投与は食前!
これは知ってる方も多いと思うのですが、ドンペリドンの基本的な用法は1日3回食前です。
吐き気止めなので、
吐きそう→食前に飲む→薬効でてきて食欲出てきた→ごはん食べられる!
を狙って食前内服ということもあるのですが、そもそも食後投与だと効果の立ち上がりが遅く、Cmaxも低くなってしまうというのが理由です。(食物によって胃からの排出が遅延するため消化管から薬剤の吸収も遅くなる)
また、食後に投与した場合、併用薬に制酸剤、H2ブロッカー、PPIなどがあるとさらに消化管からの吸収が遅延し、期待される効果が得られなくなることもあります。
小児投与の注意点
小児にも処方されることがあります。しかしその場合は体重換算になりますので、しっかりと体重を聞いておかなければ行けません。また、『3歳以下の乳幼児の場合は連続して7日以上の摂取は避けるように』との記載があるため、投与日数も確認しましょう。
副作用は?
特徴的な副作用として垂体外路症状が挙げられます。これは、ドンペリドンがドパミンD2受容体拮抗作用によって薬効を発揮するためです。しかし、ドンペリドンはメトクロプラミドと違って脳まで届かずに作用するため、メトクロプラミドと比較すると垂体外路症状の発生頻度は少ないといわれています。
今回はドンペリドンについて添付文書を確認してみました。服薬指導時に『この薬は催奇形成を起こす可能性があるため妊婦に禁忌です』と患者さんに言ってしまうと『私は気づかずに飲んじゃったからもうダメだわ!』と過剰に反応する方がたくさんいらっしゃいます。最初はそれとなく聞き、もし妊婦さんだった場合は『それでは医師に確認してみますね~』と応対しましょう。こちらが『疑義照会しなきゃ!!』と焦ってしまうと患者さんにも伝わり、『え!そんなに飲んじゃいけない薬なのね!』と思ってしまいます。なるべく冷静に、笑顔で対応しましょう!
参考文献:ナウゼリン錠5、10 添付文書
協和キリン メディカルサイト(ttps://medical.kyowakirin.co.jp/druginfo/qa/nau/index.html)
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