これは質問というか、働いていて気づいたことなのですが。
先輩薬剤師が、入院してきた患者さんの鑑別(どんな薬を持参したか調べること)をしてくれて、わたしが監査しました。
その患者さんは「キプレス®︎チュアブル錠5mg」を持ってきました。
当院の同成分薬は「キプレス®︎錠10mg」しかありません。
ということで、その先輩薬剤師は鑑別表に「当院採用薬変更の際はキプレス®︎錠10mg 0、5錠」と記載しました。
で、わたしは今回の題名の疑問に至ったのです。
生物学的利用率が違う!
生物学的利用能とは、別名バイオアベイラビリティ(BA)といい、薬物が体内に入った時にどのくらいの量が循環血中内に移行するのか、その指標のことです。
わかりにくいですが、要するに「血液中にどのくらい活性型薬効成分が入るか」ということです。例えば静脈注射だと生物学的利用率は100%となります。
しかし、経口投与だとこうはなりません。なぜなら一部肝臓で代謝されたり(初回通過効果)、不必要な吸収を受けたりして、血流に入っていく活性型薬効成分が減少していくからです。
で、キプレス®︎に話を戻します。
キプレス®︎チュアブル錠の添付文書には以下の記載があります。
『1.本剤は、口中で溶かすか、噛み砕いて服用すること。 2.モンテルカストチュアブル錠はモンテルカストフィルム コーティング錠と生物学的に同等でなく、モンテルカス トチュアブル錠はモンテルカストフィルムコーティング 錠と比較してバイオアベイラビリティが高いため1)、モ ンテルカストチュアブル錠5 mgとモンテルカストフィ ルムコーティング錠5 mgをそれぞれ相互に代用しないこと』
要するに、「キプレス®︎チュアブル錠の生物学的利用率が高いから、普通錠と比較するとたくさん薬効成分が血液中にいきますよ!」ということになります。
だから『キプレス®︎錠5mg ≠ キプレス®︎チュアブル錠5mg』ということ!
ふむふむ!
ということで、当院では『キプレス®︎錠10mg=キプレス®︎チュアブル錠5mg』ということになりました。
最後に適応確認!
普通錠とチュアブル錠で適応が異なるのか確認しておきましょう。
キプレス®︎錠:①気管支喘息 ②アレルギー性鼻炎
キプレス®︎チュアブル錠:①気管喘息
適応も異なっています。このため、アレルギー性鼻炎の患者さんにチュアブル錠は基本的に出せません。保険で切られてしまいますので注意。