抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いは?

今回はDrからの質問ではないのですが、当院の薬剤師は結構漢方薬が苦手な人が多いので漢方薬をピックアップしてみました。

抑肝散といえば薬剤師なら知らない人はいないであろう超有名漢方薬。日本で売れている漢方薬の中でも3本の指には入ると言われています。

配合生薬は、蒼朮、茯苓、川芎、釣藤鈎、当帰、柴胡、甘草の7種類。

抑肝散は、虚弱な体質な人の怒りやイライラ、子供の夜泣き、興奮しやすい、神経過敏などを抑える作用があります。認知症の方の陽性症状によく処方されていますね。

抑肝散加陳皮半夏も、作用としてはほとんど同じようなものですね。抑肝散の生薬に陳皮と半夏が足されています。

まずは陳皮と半夏の作用を確認する!

陳皮

陳皮とはみかんの皮を乾燥させたものです。古くから生薬として使われてきた陳皮にはいくつかの作用がありますが、注目すべきは胃腸の調節作用です。

胃の内容物を腸へ行かせたり、腸の蠕動運動を促進したりする作用があります。また、私たちの生活に密接した「みかん」の皮なだけあって、リラックス作用もあるようです。

半夏

半夏とは、カラスビシャクという植物の塊茎です。効能効果としては鎮静や去痰、鎮咳などの作用があります。

こちらも多くの半夏厚朴湯や小青竜湯など、漢方薬に使用されているポピュラーな生薬です。

ということで、上記の効果が加わったことにより、抑肝散加陳皮半夏は抑肝散よりも胃腸が弱く、虚弱な患者さんに使用されます。

患者さんの見た目や、ちょっとした症状から判断して、使い分けがされているのかを理解しながら調剤していきましょう!

参考資料 :NHKきょうの健康 漢方薬辞典 改訂版/タケダ健康サイト

医療の関連記事
  • レボフロキサシン点眼薬、濃度の違い
  • 尿路感染症を予防する“飲み物”!?
  • 脱水時の検査値、症状あれこれ
  • プラセボってなに?
  • 骨粗鬆症の注射剤まとめ
  • プレアボイドってなに?
おすすめの記事
【薬膳】四(五)性とは
薬膳
こんにちは。今回は【薬膳】で用いられる用語『四性』についてご説明いたします。 食材には体を温めたり、冷やしたりする力があるものがあります。こ...
尿の色が変わる薬剤
医療
こんにちは。今回は服用後に尿の色が変わってしまう薬剤をまとめてみました。 尿の色の変化は、服薬指導時に伝えなければならない必要な情報です。覚...
胃にはビタミン『U』!
コラム
こんにちはー! ビタミンはみなさんご存知ですよね?体内に必要な栄養素なのに体内で十分な量を合成できない物質のことです。 実はビタミンUという...
コンタクトレンズの怖い話
医療
こんにちは。 今回は実際にあったコンタクトレンズの怖い話についてお話しします。 例えばあなたがソフトコンタクトレンズを洗おうとした時に、洗浄...
便の色が変わる薬
医療
こんにちは。以前『尿の色が変わる薬剤』について書きましたが、今回は『便の色が変わる薬剤』についてまとめてみました。 便の色が変わる薬剤↓ 黒...
【再確認!】アセトアミノフェン
薬の復習
お薬について1種類ずつ定期的に注目していこうと思い、新しくコーナー?を作りました! 初回の今回は「アセトアミノフェン」 「基礎中の基礎じゃな...
腸の中は真っ黒!?
医療
こんにちは。今回は大腸の話です。 女性で多い疾患の1つに便秘があります。下剤を使ったり、ヨーグルトを摂取したり、いろいろと対策してる方も多い...