こんにちは。今回はステロイド外用剤について少しお話しします。
ステロイドと聞くと『副作用が怖い』と思う方も多いかもしれません。しかし、外用剤は内服と比較すると全身性の副作用はとても少ない。正しく使えば症状が改善していくお薬です。使い方を間違えないように、患者さんにはしっかり指導しましょう!
強さの分類
ステロイド外用剤にはその強さによって5段階のレベルに分かれています。
塗る部位や症状によって強さを調節します。
上記の表に入れ忘れちゃったんですが、『リンデロンVG』という外用剤を採用している薬局も多いと思います。これは【強い】レベルの『リンデロンV』にゲンタマイシン硫酸塩が含まれているものになります。主に傷口などがあり化膿する可能性が高い部位に使用されます。
また、顔や陰部などは吸収率がとても高い(下図参照)ため、『普通』や『弱い』ステロイドを使うことが多いです。(ただし症状悪化時など、状態によっては強め以上のレベルを使用することもあり)
図1では前腕(内側)での吸収率を1.0としています。これを見ると1番吸収がいいのは陰部です。なんと前腕の42倍も吸収しちゃいます。
次に頬(顔)、3番目が首などの頚部となっています。
手挙や足底などはなかなか吸収率が悪いので、軟膏が処方される場合は、強めなレベルのステロイドが出ることが多いと思われます。
アトピー性皮膚炎などで状態が悪化した場合は、通常使用時より強めのステロイドを使い、ある程度状態を良くしてから、レベルを下げたステロイドを長期間使用して症状の改善をさせていく、という治療法もあります。
薬剤師としてどんな指導をすべきか
私たち薬剤師として重要なのが、使用方法の指導になります。
ここで【1FTU】という用語が出てきます。
【1FTU】というのは『1フィンガーチップユニット』と読み、人差し指の先端から第一関節までチューブから軟膏(クリーム)を出した量が約0.5gであり、これを両手の平程度の広さに塗り広げる、というものです。
ちなみに、25gや50g用の大きなチューブで【1FTU=0.5g】となりますが、5gのような小さなチューブでは【2FTU=0.5g】となります。
実際にこの量を塗ると少しベッタリした感じとなり、『量が多かったかな?』と思う患者さんもいるかもしれません。しかし、このくらいしっかり塗布しないと薬効が発揮されません。状態が悪化している時などは特にしっかり塗布するように指導しましょう。
目安としてはティッシュが少しくっつくくらいのベッタリ感です。
手の平や足などに塗布する場合は、薬が取れやすいので、布製の手袋や靴下などをしてもいいかもしれません。
今回はステロイドのレベルや使用方法などについて書きました。ベテラン薬剤師さんや皮膚科の門前の薬局薬剤師さんにとってはとても基礎的な内容だったと思いますが、あまり軟膏の処方が来ないところにいる薬剤師さんだと、忘れていたことがあったかもしれません。
特に私もそうなんですが、ステロイドのレベルがなかなか覚えられない…。ので、特定の薬や1つのレベルだけとにかく覚えて、他は毎回調べる。そうして徐々に覚える範囲を増やしていきたいですね。