内服の用法(時間)、どう説明する?(2)

こんにちは。今回の記事は前回(食後、食前、食間)の続きになります。
食直前、食直後、就寝前、起床時の説明の仕方について復習していきます。

食直前

  • 主にα-GI(糖尿病治療薬)など

ごはん食べる直前ですね。およそ5分前以内と言われていますが、『いただきます』のタイミングで飲むのが1番忘れにくいと思います
α-GIに関しては、内服後すぐに作用して食事の糖分を吸収阻害するため、食後に内服忘れに気付いて飲んでも意味はほぼありません。しかし食事中ならまだ間に合う可能性があります!食事が始まって10分前後以内に気付いたらすぐに内服するように指導しましょう。
また、『食前』の説明の時に「食事の準備をするときに内服するように説明する」と書きましたが、α-GIの場合、食事をしないまま薬の吸収が始まってしまうと低血糖症状を起こす危険性があります。例えカップラーメンであっても、内服してからお湯を沸かし始めると、食べるころに低血糖症状が起きるかもしれません。必ず「いただきますの時に内服するようにしてください」と説明しましょう。

食直後

  • 主にイコサペントエン酸エチルなど

食事のすぐ後に内服する薬です。そのため、「ごちそうさま」と同時に内服するように指導します。
食直後の薬として有名なのはイコサペントエン酸エチルです。これは脂肪酸のため吸収に胆汁が必要となります。そのため、胆汁分泌が盛んな『食直後』と設定されています。
『食後』の薬も多くの方が『食直後』に内服されていると思うので、概ね大丈夫だと思います。

就寝前

  • 主に睡眠薬、一部の抗アレルギー薬など

『就寝前』に内服指定があるということは、ちゃんと理由があるのです。それはほとんどが『眠気が発生する』副作用が起きやすいからです。
眠気が日中に出ると仕事や学業、生活に影響が出て、やりたいことがやれなくなります。これが頻繁に起きたり、強い眠気が出てしまうとかなり問題がありますよね。そのため、患者さんには「内服後は短時間であっても車の運転は控え、『後は寝るだけ』のタイミングで内服するようにしましょう」と指導しています。

起床時

  • 主にビスホスホネート薬(骨粗鬆症治療薬)など

朝起きてすぐ飲む薬ですね。有名なのがビスホスホネート薬です。この薬には注意点が4つあります。

  1. 朝起きてすぐ飲む
  2. コップ1杯の水(約180mL)で飲む
  3. 内服後30分は横にならない
  4. 内服後30分は水以外飲食しない

患者さんにはこれらを守っていただく必要があります。そして理由もちゃんと説明しましょう。患者さんにとってはもしかしたら面倒くさいと思われるかもしれませんが、咽頭などの炎症や胃腸障害などの副作用を起こさないために必要なことになります。

さて、今回は内服時間について私なりの説明の仕方を書いていきました。ただ1番大切なのは、患者さんに飲んでもらうことです。
『ベストなタイミングに飲むのを忘れてしまった。今回は飲むのをやめよう』
を繰り返していては治るものも治りません。患者さんや医師と相談し、(可能な範囲内で)内服の時間を減らしたりズラしたり、患者さんの飲みやすい状況を作ってあげるのも薬剤師の仕事ですね。

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