これはわたしが超新人だったときのお話。
患者さんが入院中に風邪をひいたらしく、「喉が痛い」と言っているそう。主治医はPL顆粒®︎やトランサミン®︎錠、トローチなどを処方しました。
本人管理ができる患者さんだったため、薬と薬の説明書を持って向かいました。
「薬待ってたのよ!喉が痛くて。。。」
そしてわたしは薬の説明書を見ながら説明したのです。
「PL顆粒®︎は風邪薬でよく出されます。解熱鎮痛効果もあります。トランサミン®︎は。。。『止血剤』。。。??」
そうなのです。説明書の確認を怠ってしまったわたしは、トランサミン®︎錠の説明が「止血剤」になったまま渡してしまったのです!
「なんで止血剤が処方されるの?」
患者さんは「?」状態。わたしも同じ状態(笑
ちゃんと確認して、勉強してから患者さんのところに行かなきゃですね。
ということでトランサミン®︎錠、つまりトラネキサム酸の話です。
そもそもトラネキサム酸とは?
薬学生時代、トラネキサム酸=止血剤と習いました。まずはおさらいです。
簡単に説明すると、血液中に血栓ができると、その血栓を溶かそうとする働きが起きます。血栓はフィブリンを原料としています。
フィブリンはプラスミンという物質と結合すると分解して溶けます。
プラスミンはプラスミノゲンという物質からできます。
つまり、プラスミノゲン→プラスミン+フィブリン→血栓崩壊、血液中サラサラ
トラネキサム酸はプラスミノゲンに結合してプラスミンになるのを妨害します。
そのため、フィブリンとも結合せず、血栓は崩壊しません。このようにして止血作用を示します。
なぜ咽頭痛に効くの?
ウイルス感染などによって喉の細胞が壊されると、プラスミンが放出されます。このプラスミンがのどで炎症や痛みを起こす原因物質を呼びます。プラスミンが血管を拡張させるので炎症がさらに悪化します。
ここでトラネキサム酸が登場。
先ほど記述した通り、トラネキサム酸はプラスミノゲンと結合し、プラスミンになるのを防ぎます。そのため、プラスミンが減少し、痛みや炎症を抑えることができます。
だから止血剤が咽頭痛に効果を示すんですね。
ちなみにこのトラネキサム酸、若い人のシミである肝斑も薄くする作用があるようで、ドラッグストアなどで販売されています。こちらは2ヶ月で効果が現れるため2ヶ月以上の服用は避けたほうがいいとのこと。個人的な意見ですが、止血剤なので漫然と飲み続けるのは控えたほうがよさそうですね。。
ちなみに、患者さんにはちゃんと咽頭痛に効果があることを後ほど伝えました。