ワーファリン服用中の食べ物の注意点

こんにちは

血液をサラサラにする作用があるワーファリン。脳梗塞後の再発予防などで内服している人も多いと思われます。しかし、ワーファリンには食べ物で注意しなくてはならないものが多くあります。今回はそこに着目してみました。

なぜ食べてはいけない物があるの?

食べ物の制限の理由は「ビタミンKの量」に関係しています。ワーファリンは、ビタミンKに類似した構造をしており、体内でビタミンKと拮抗してビタミンK依存性凝固因子が作られるのを阻害しています。そのため、ビタミンKが体内にたくさんあると、拮抗作用が弱まり、薬の作用も減弱してしまうのです。

そのため、ビタミンKが多量に含まれている食べ物は禁止となります。有名なのは『納豆』『クロレラ』食品ですね。しかしビタミンKは緑黄色野菜や海藻類にも多く含まれています。

「納豆、緑黄色野菜、海藻類食べられないなんて、じゃあ何食べれば良いのよ!」

って思われますよね。本当にその通りだと思います(笑)ということで、量を調べてみました。

問題になる量とは

『ワルファリン服用者におけるビタミン K 摂取量の許容範囲に関する 系統的レビュー』(https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwjyhsi9-6PsAhUHE6YKHeNTCFEQFjAEegQIBBAC&url=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Fshokueishi%2F56%2F4%2F56_157%2F_pdf&usg=AOvVaw1548VPrNf10pyp02iMU_Ob)

この論文によりますと、ワーファリン内服中の患者には25〜325μg/日の量のビタミンK摂取を推奨し、最低でもなるべく150μg/日摂取することを意識するように心がけると良いようです。 

ビタミンKは血液関係だけではなく、骨形成にも関与する大切なビタミンになりますので、気をつけすぎて摂取しなさすぎるのも問題になってきます。

ではビタミンKは、何にどのくらい入っているのでしょうか。いくつかご紹介します。

  • ひきわり納豆;930μg
  • 枝豆;30μg
  • 豆苗;280μg
  • キャベツ;70μg前後
  • 春菊;250μg
  • セロリ;10μg
  • チンゲンサイ;84μg
  • ブロッコリー;160μg
  • カットわかめ;1600μg
  • 干しのり;2600μg

(100gあたり)文部科学省 『日本食品標準成分表』参照

これを見ると明らかに納豆が多いのが分かりますね。1日のトータル摂取量を考えると緑黄色野菜もたくさん食べるとNGです。海藻類もとても多く含まれています。

しかし、これは『100gあたりのビタミンK』になります。カットわかめ100g食べる人ってなかなかいないですよね。。。(^^;)

1回の食事で小鉢1個ほどの野菜を取るようにし、同じ野菜を毎食食べないようにすれば、ある程度は問題ないと思います。

以前私が薬学部実習生だった頃、薬剤師の先生から「前に入院していた患者さんで『ブロッコリーが好きで、毎日1本食べてるの』という方がいた」という話を聞いたことがあります。ブロッコリー1本だと100g以上あると思うので、毎日1本は控えてもらわないとですね。。。

納豆も少しなら良い?

日本の伝統的な食べ物である納豆。大好きな人はいっぱいいますよね。「少しなら良い?」と気になる方も多いと思われますが、、、申し訳ないです!納豆は少量でも食べないようにしてください!!

納豆に含まれる納豆菌は、腸内でビタミンKをたくさん作ってしまうのです。そのため、摂取した量は少量でも、体内でビタミンKがどんどん増えてしまうのです。。。そのため、納豆は少量でもダメです!

ちなみになんですが、上記の論文にも書いてあるのですが、ビタミンKによって変動するINR(ワーファリンの効果判定する検査値)は、人によって異なることが多いため、少しの摂取でも大きく変動することがあります。でも気にしすぎは患者さんのストレスにもなりますので、Drとワーファリンの量を相談しながら、定期的な検査を行っていくのが良いと思います。

ワーファリンは食事以外にも、相互作用が起こる併用薬が多くあるため、いろいろ検討する課題が多いと思われます。

食事を気にしたくない!という方には、今はワーファリン以外にも抗凝固薬がありますのでそちらをお勧めするのも良いと思います。しかし、値段が圧倒的にワーファリンの方が安いですし、ワーファリンは歴史のある薬なので副作用もある程度把握されてますし、調節が細かく出来るため、ワーファリンの方が扱いやすいと考えるDrは多くいらっしゃいます。この辺も、Dr、患者さんと話し合って、双方が納得のいく内服薬を決めていきたいですね。

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